仕事を選ぶとき何を大切にする?? 職業選択の今を見て感じる事・・・・

人事のプロとして、キャリアコンサルタントとして毎年たくさんの若者たちと 接触していて思う事があります。それは、「みんな真面目だなあ」という事。
家族の前では違うのかもしれませんが、昔の若者に比べれば明らかに根が素直で 真面目な子が多いと感じます。そんな若者達なので、「職業選択」という 場面においても真面目さがにじみ出てきます。40代以上の皆さんならお解りと 思いますが、「就活」真剣にやっていましたか?選択の最大のテーマは、給料や 勤務地、労働時間などといった条件でした。その次に、その会社の知名度や 将来性などを加味するといった程度。そんないい加減なオジサンたちに比べ 今の若者たちは、「自分の成長」や「自己実現」という事を「職業」に求めて きます。誤解のないように言っておくと、これは決して間違ってはいません。
仕事を通して、自分の成長を感じられたり、やりがいを感じられる事は多く あります。だからと言って、「自分の成長が期待できる」「地域貢献できる」 という理由だけでノンジャンルの異業種、異職種を受けまくるのはどうなん だろう??という気がしています。実は、オジサン達がこうした懸念を抱く のは「どうせ、自分には合わなかったと2.3年で辞めてしまうのが関の山?」と踏んでいるからです。事実、そうした若者たちがどんどん増えても います。数年単位の就業経験や転職経験を生かしてキャリアアップしていける のは、ほんの一握りの有能な人材のみ。多くの人たちは、キャリアダウンの 負のスパイラルに飲み込まれていきます。「マズローの5段階欲求説」を 出すまでもありませんが、人は「自己実現欲求」の前に「生理的欲求」や 「安全欲求」「社会的欲求」を満たされている必要があります。真面目な 若者達は、崇高な目的実現の為に足元の現実を見逃します。自分の能力と つりあっているのか?その職種・業種と自分の育ちは相入れるのか? 自分の考えだけではなく、周りの家族や友人などの客観的な視座も参考に職業を選択していくことが重要なのです。
人事のプロほど「就職は縁ですよね」と、よく口にします。生身の人間が 生身の人間たちで作っている組織で「暮らす」(過ごす)行為でもあるわけ ですから、五感をフル活用してなぜか引かれるとか、なぜか気になる、居やすい という会社を選び、定着します。もっと言うと、そうした最低限の安全が担保された 会社の中で、仕事を通して能力が高まったり、社会的責任を感じていきます。 新人の頃は全く興味のなかった職種が、今は天職と言ってしまう人がいるのも 職業の奥深さならではのことです。仕事に優劣があるのではなく、その人が 仕事に対して感じている思いや価値観が優劣を生み出します。
出会った「職業」というものと真摯に向き合い、その仕事から学び、その仕事に 価値を付加し、社会還元していくという日本的な考え方が、実は小国日本が戦後 経済大国となった大きな一因なように思えてなりません。